シナリオ

タウトンの戦い

1461年 · ヨーロッパ 中量

ランカスター軍 — ヨーク軍 · 11ターン · 駒 66

ブリーフィング

"My lord, I have not deserved it, for I slew but fifteen men. I stood still in one place, and they came unto me, but they bode still with me." 「わが君、それには値しませぬ。討ったのは十五人だけで、私は一つ所に立っていただけです。向こうから来たのです。そして、そのまま私のところに留まりました」――サー・アンドルー・トロロープ。第二次セント・オールバンズののち、鉄菱で足を傷めたまま騎士に叙されて(『グレゴリー年代記』)。ひと月半のち、彼はタウトンの畑で、また一つ所に立って死ぬ。 射手を名乗る駒がランカスター方に三体あって、その射程は一体残らず「1」である。ヨーク方には射程2が六体ある。盤上の数で勝っているほうにだけ、遠くへ届く手が無い。 これは調整ではなく、風である。1461年3月29日、棕櫚の主日。雪は南から吹いていた。ヨーク方の前衛を預かったフォーコンバーグ卿は射手を戦列の前へ出させ、一斉に射させて、すぐ下がらせた。矢は追い風に乗って台地を越えた。返し矢は向かい風に押し戻され、ヨーク方の足元までしか届かなかった。フォーコンバーグはその矢を拾わせて、もう一度射させたと伝わる。本作に風向きを書く欄は無いので、書けるのは結果だけである――ランカスター方の Bowmen Bowland も Bowmen Richmond も Bowmen Beverley も、隣の升へ歩いて殴ることしかできない。 ただしこの利は長く持たない。射程2の駒は敵と隣り合ったら撃てないので、白兵が始まった瞬間に風は止む。史実でもそうだった。矢の応酬は三十分ほどで終わり、耐えかねたランカスター方が前へ出て、そこから四時間の押し合いになる。T1とT2で使い切る利。それがこの盤のヨーク方の持ち物である。 【六ターン、どう保つか】ノーフォーク公の兵はT7(14:00)とT8(14:30)に、盤の南の縁から入場する。それまでヨーク方は盤上に26駒・92CSしかいない。ランカスター方は32駒・114CS。戦闘力の比は1.24対1、人数では三万対二万二千で、押されて当然の数字である。代わりにヨーク方には手数がある。一度に動かせるのは11駒――盤上26駒に対して42%で、ランカスター方の12/32(38%)より高い。押し下げられながら切れない、という形は、この数字でできている。T7でノーフォークの8駒・30CSが入れば、総戦闘力は114対122で裏返り、枠も13になる。この裏返りが、この会戦そのものである。 【ランカスター方の勝ち方】盤は点差プラス48から始まる。北の四拠点が彼らのものだからである(Towton 34、North Acres 24、Cock Bridge 18、Castle Hill 14。ヨーク方が持つのは Saxton 24 と Dintingdale 18 だけ)。勝利線はプラス70。つまり開幕の差を守るだけでは足りない。あと二十二点――両軍のあいだの窪み Towton Dale の20点を取って、さらに Bloody Meadow の12点か、相応の撃破差か、そのどちらかが要る。押し合いに勝っただけでは勝ちにならない。 【ヨーク方の勝ち方】窪みを渡さずに六ターン持ちこたえれば、それだけで線の内側にいる。取り返す必要も、北へ攻め上がる必要も無い。ただし占領は「止まること」なので、窪みに誰も立っていなければ、そこはランカスター方のものになる。史実の問いと同じである――引き分けは、ロンドンにいるエドワードを王のままにする。 【レンショウ森】盤の東、両軍の戦列の外に Renshaw Wood という森がある。勝利点は一点も付いていない。ヨーク方が押さえればヨーク方の枠が11から14へ(T7以降は13から16へ)、ランカスター方が押さえればヨーク方の枠が8へ落ちる。ランカスター方の枠は、どちらに転んでも一つも動かない。それでも取りに行く理由がある――ノーフォークが上がってくるのはこの森の脇の道であり、押さえておけば、増援が着いてもヨーク方は10駒しか動かせない。森は両軍の戦列から二升か三升しか離れていない。行けば届く。だが行けば、戦列がそのぶん薄くなる。 【谷】盤の西を流れるコック川は、ブラッディ・メドウの西の区間だけ大河として引いてある。渡る手立ては無い。ヨーク方の左翼をそこへ押し込めば退路は無いが、谷に背をつけているのはランカスター方の右翼のほうである。盤で川を渡れるのは、北西の Cock Bridge と、南の浅瀬の二か所しかない。 【指揮官】ランカスター方:総大将サマセット公ヘンリー・ボーフォート。エクセター公ヘンリー・ホランド。ノーサンバランド伯ヘンリー・パーシー(討死)とその弟サー・リチャード・パーシー(討死)。サー・アンドルー・トロロープ(討死)――ラドフォード橋でヨーク方を裏切って以来、この軍で最良の戦術家だった男。ダカー卿ラルフ(討死。その墓は盤の南、Saxton の教会にある)。ジョン・ネヴィル卿(討死)――ヨーク方のウォリックとは分家どうしで、この日、盤の北と南に分かれて立っている。ウェルズ卿ライオネル(討死)、ロス卿トマス、ハンガーフォード卿ロバート、ブーモント子爵ウィリアム、ウィロビー卿ロバート、ウィルトシャー伯ジェイムズ・バトラー、サー・ウィリアム・プランプトン(息子がここで討死する)。ほかは北部と中部の徴募である。 ヨーク方:エドワード4世(19歳。三週間前にロンドンで王を称したばかりで、その正統性をこの一日に賭けている)。ウォリック伯リチャード・ネヴィル――前日フェリーブリッジで脚を射られたまま立っている。フォーコンバーグ卿ウィリアム・ネヴィル(ウォリックの叔父。矢の一件はこの人の仕事)。ノーフォーク公ジョン・モウブレーとサー・ジョン・ハワード(負傷)。ウェンロック卿ジョン、スクループ・オヴ・ボルトン卿ジョン(ここで負傷)、サー・ウォルター・ブラント、ウィリアム・ヘイスティングズ(この戦いのあと、その場で騎士に叙される)、サー・ロバート・ホーン、サー・ロバート・オーグル。カレー守備隊の古参兵は、ウォリックとフォーコンバーグが海の向こうから連れてきた、この島でただ一つの常備軍であり、この軍でいちばん練度の高い集団である。ラドローとシュロップシャーの兵は、ヨーク家の本拠の町から出てきた手勢で、二月のモーティマーズ・クロス以来ずっとエドワードと一緒にいる。 盤に出ていない人が三人いる。クリフォード卿ジョンとフィッツウォルター卿は、前日28日に討たれている――クリフォードが喉に矢を受けて死んだ窪地の名が、盤の南東の Dintingdale であり、ノーフォークの兵は翌日そこを踏んで戦場へ上がってくる。デヴォン伯トマス・コートニーは病でヨークに残った。そしてヘンリー6世とマーガレット王妃と王子エドワードは、この五時間半のあいだ、ヨーク市で結果を待っている。 【結末】ノーフォークの兵が右翼に加わってから、ランカスター方の左翼が押し込まれ、戦列は西へ向かって折れた。北へ逃げる道は Cock Bridge ただ一本しかなく、そこへ届かなかった者は谷へ落ちた。ブラッディ・メドウという名は、この日についた名である。討たれた数は、両軍を合わせて二万八千と触れが出た。誇大だとしても、イングランドの一日として並ぶものが無い。サマセットとエクセターは逃げ、ヘンリー6世の一家はヨークからスコットランドへ抜けた。エドワードは六月にウェストミンスターで戴冠する。ダカー卿はサクストンの教会の墓地に、馬とともに立ったまま埋められたと伝わる――五百年のち、掘り返した人々は、その言い伝えが本当かどうかを確かめることになる。トロロープの遺体がどこへ行ったかは、誰も書き残していない。   南から吹いて、矢が片側にだけ届いた   二時までは数が押し、二時からは道が押した   橋は一つしかなく、渡れなかった者は谷にいる   その谷の名が、その日から変わった   彼は一つ所に立っていた   向こうから来て、そのまま留まった 前日のフェリーブリッジとディンティングデイル、そして日没後の追撃は盤に載せていない。盤は十一時から四時半までの五時間半である。兵力は近年の中位の見積り(ランカスター三万/ヨーク二万八千・うちノーフォーク六千)を採り、同時代の触れ書きの六万対四万は採らなかった。盤の戦闘力はランカスター114・ヨーク122で人数比とは逆向きだが、これはカレーの古参兵と辺境領の手勢と風下の射手のぶんをヨーク方に乗せたためである。両軍とも下馬して戦い馬は後方へ送られたので、この盤に移動力5の駒は一体も無い。キャッスル・ヒルの森に伏兵がいたという話は近年の再現図に広く出るが、同時代の史料まで遡れなかったので待機部隊としては置かず、森と勝利点だけを残した。※徴募地の名乗りと一部の駒の持ち場には、当時の動員の慣行からの推定を含む。 1ヘクス=150m、1ターン=30分、1CS≒250名。T1=3/29 11:00(矢)、T7=14:00(ノーフォーク到着)、T8=14:30(第二陣)、T11=16:00(終了)。一度に動かせるのはランカスター12駒、ヨーク11駒(T7から13駒/レンショウ森を取れば+3、取られれば−3)。勝利線は第一陣営(ランカスター方)視点でプラス70、開幕の点差はプラス48。

地図

周辺図(概略) タウトン ヨーク タドカスター フェリーブリッジ ポンテフラクト ウォーフ川 エア川 → ロンドン街道
周辺図(概略)
戦場図(概略) タウトン村 サクストン(増援の道) ランカスター軍 ヨーク軍 コック川の崖 血の草地 ← 風は北から
戦場図(概略)