シナリオ

ブレンハイムの戦い

1704年 · ヨーロッパ 中量 体験版に収録

仏・バイエルン軍 — 同盟軍 · 10ターン · 駒 55

ブリーフィング

"I have not time to say more, but to beg you will give my duty to the Queen, and let her know her army has had a glorious victory." 「もう書く暇が無い。ただ女王陛下に、陛下の軍が栄えある勝利を得たとお伝えしてほしい」──マールバラ公、戦いの夜に居酒屋の勘定書きの裏へ鉛筆で書いた妻サラへの走り書き(1704年8月13日) 盤の南をドナウ川が流れ、北から小さなネーベル川が斜めに下りてくる。その南西に村が三つ並ぶ。ドナウの岸の Blenheim、中央の Oberglau、西の丘の森の裾の Lutzingen。仏・バイエルン軍は三つの村に歩兵を入れ、村と村のあいだの刈り跡の麦畑に騎兵を並べた。村は垣根と荷車のバリケードで固く、畑はどこまでも開けている。攻めるならそこしかないことを、タラール元帥も知っていた。だから彼はネーベル川の岸を守らず、一キロ下がって待った。渡ってくる敵を、隊列の組めないうちに叩いて川へ落とすつもりだった。 盤は午後一時、マールバラ公が全線に前進を命じたところから始まる。右翼のオイゲン公はルッツィンゲンの前の藪に、左翼のカッツ中将は朝のうちに取った河口の水車場に、中央のチャーチルの歩兵と騎兵はウンターグラウの湿地の岸にいる。増援は無い。両軍とも、盤の上にあるのが全部である。 【ネーベル川】オーバーグラウより下流は湿地の牧草地で、川そのものは守りの線にならない。渡れば足が止まるだけである。オーバーグラウから上流、オイゲンの正面は川の辺のままで、そこを越えて攻めると守る側が二倍になる。南のドナウ川には入れず、そちらへ後退することもできない。 【勝利線の読み方】画面の「点差」は、仏・バイエルン軍から見た一本の数字である。仏・バイエルン軍が持っている地点の点から同盟軍の点を引き、そこへ与えた損害を足し、受けた損害を引く。終了ターンにこの数字を読む。「勝利線」はその数字の互角の位置で、0点ではない。線より上なら仏・バイエルン軍、下なら同盟軍の勝ちで、線からのひらきが大きいほど勝ちの級が上がる。 【タラールの守り方/マールバラの攻め方】開幕の点差は +75。Blenheim 40点・Oberglau 30点・Lutzingen 25点を仏・バイエルン軍が持ち、Unterglau と Schwennenbach の10点ずつを同盟軍が持つ。勝利線は +7。村の持ち主が一つ入れ替わると、点差はその村の点の二倍動く。Blenheim を同盟軍に取られれば −5 で、損害が五分ならそれだけで線の下である。Oberglau だけなら +15 で、まだ線の上に残る。仏・バイエルン軍は村を持ったまま、渡ってきた敵に受けた以上の損害を与えればよい。同盟軍は村を一つ落とし、畑で仏軍の騎兵を削り、自分の損害を相手より大きくしないこと。 【一度に動かせる駒】仏・バイエルン軍は二十九体のうち十二。タラールの軍とマルサン・選帝侯の軍は、同じ戦場に並びながら互いの援けを頼みにして、どちらも兵を出さなかった。同盟軍は二十六体のうち十三。点の無い畑の奥、ドナウの岸の Sonderheim の升を同盟軍が取ると、仏・バイエルン軍は十二から九へ落ちる。タラールはその村の近くで捕まり、以後 Blenheim の守備隊には誰からも命令が届かなかった。 【指揮官】仏・バイエルン軍:Tallard=カミーユ・ドスタン・ド・タラール元帥(この日捕虜)/Marsin=フェルディナン・ド・マルサン元帥/Max Eman Elector=バイエルン選帝侯マクシミリアン2世エマヌエル/Clerambault=クレランボー侯(Blenheim の指揮官・夜にドナウで溺死)/Navarre=ナヴァール連隊(降伏の前に軍旗を焼いた)/Hautefeuil=オートフイユ伯(下馬竜騎兵)/Du Roi=国王連隊/Zurlauben Gendarmes=ツアラウベン(スイス人)の近衛騎兵/Blainville=ブランヴィル侯(Oberglau・この日戦死)/Irish Bde Clare=フランスに仕えたアイルランド旅団(クレア・リー・ドリントン)/Maffei=マッフェイ伯のバイエルン歩兵/Rozel=ロゼル侯(Lutzingen の北の森)/Arco・Wolframsd=アルコ伯・ヴォルフラムスドルフのバイエルン騎兵/Nine Bns=中央の九個大隊(新兵)。 同盟軍:Marlborough=マールバラ公ジョン・チャーチル/Eugene Savoy=サヴォイア公子オイゲン/Cutts Salamander=ジョン・カッツ中将(砲煙の中でも平気で立つので「火蜥蜴」)/Rowe=アーチボルド・ロウ准将(柵に剣を突き立てるまで撃つなと命じ、柵の前で倒れた)/Ferguson=ジェイムズ・ファーガソン准将/Wilkes=ウィルクスのヘッセン旅団/Palmes=フランシス・パームズ大佐(近衛騎兵を押し返した英騎兵)/Churchill Charles=チャールズ・チャーチル(公の弟・中央の歩兵)/Orkney=オークニー伯ジョージ・ハミルトン/Hulsen=ヒュルゼンのヘッセン・ハノーファー旅団/Holstein Beck=ホルシュタイン=ベック公(Oberglau の前で致命傷)/Blood=ホルクロフト・ブラッド大佐の砲/Lumley=ヘンリー・ラムリー中将(英騎兵)/Hompesch=ホンペシュ伯(オランダ騎兵)/Hesse Kassel=ヘッセン=カッセル方伯子フリードリヒ/Hanover Dragoons=ハノーファー竜騎兵(タラールを捕えた)/Fugger=フッガーの帝国胸甲騎兵(オイゲンから借りてアイルランド旅団の横を突いた)/Anhalt=アンハルト=デッサウ侯レオポルト(プロイセン歩兵)/Scholten=ショルテン伯(デンマーク歩兵)/Max Hanov=ハノーファー公子マクシミリアン/Wurttemb=ヴュルテンベルク公。駒になっていない人:ウィリアム・カドガン(マールバラの需品総監・正午にオイゲンの到着を知らせた)。 【この盤で試せる判断】 一、村か、畑か。村は点が重く、垣根で固い。畑には点が無いが、奥に Sonderheim がある。同盟軍は村を攻める兵と畑を渡る兵をどう分けるか。仏・バイエルン軍は、村へ兵を入れるほど畑が薄くなる。クレランボーは攻められるたびに予備を村へ呼び込み、夕方には二十七個大隊が五百メートル四方に詰まっていた。 二、湿地の岸まで出るか、下がって待つか。騎兵を岸まで出せば、渡る敵を足の止まったところで叩ける。だが出た騎兵は村の砲からも歩兵からも離れる。 三、Oberglau の横。中央の北の端は、村の歩兵に横から撃たれる。マールバラはオイゲンから胸甲騎兵を借りてそこを塞いだ。 四、オイゲンの翼。上流の川と藪を越えて Lutzingen を取りに行くか、選帝侯をそこに釘付けにするだけで足りるか。 【結末】午後五時半、マールバラは騎兵八十個中隊と歩兵二十三個大隊をいっせいに前へ出した。タラールの騎兵は崩れ、取り残された中央の九個大隊は方陣のまま、その場で斬られた。崩れた騎兵の多くはゾンダーハイムとヘーヒシュテットのあいだで、ドナウの岸から水へ追い落とされた。タラールはゾンダーハイムの近くでハノーファー竜騎兵に剣を渡した。夜九時、Blenheim の二十七個大隊が武器を置いた。クレランボーは馬でドナウへ入り、途中で落ちて溺れた。捕虜は一万四千。バイエルンは戦争から外れ、フランス軍はライン川の向こうへ退いた。女王アンはウッドストックの王領をマールバラに与え、そこに建った館は、この村の英語の名で呼ばれている。百七十年後、その館の一室で、公の子孫ウィンストン・チャーチルが生まれた。   五百メートル四方に、二十七個大隊   畑には、立ったままの九個大隊   元帥は、勘定書きの裏の一行になった   女王に、栄えある勝利を   その村の名は、いまも館の名である 朝の行軍と砲撃戦(午前二時の出発から正午まで)は盤に載せていない。夜九時の Blenheim の降伏も盤の後である。同盟軍が中央に架けた束柴の渡りは、ネーベル川の下流を湿地にして、どこでも重い足で渡れる形に置き換えた。ドナウ川は十九世紀に直線化されたので、盤の岸は1704年の流れを推した線である。村どうしを結ぶ畑道は、今の村道の筋に沿わせた。 1ヘクス=300m、1ターン=45分、1CS≒500名。T1=8/13 13:00(総攻撃)、T3=14:30(Oberglau の前でホルシュタイン=ベックが撃退される)、T5=16:00(中央の同盟軍が渡り切る)、T7=17:30(マールバラの総突撃)、T9=19:00(タラールが捕まる)、T10=19:45。
ゲーム画面・1ターン目(英語表示)
ゲーム画面・1ターン目(英語表示)

地図

周辺図(概略) ブレンハイム(ブリントハイム) ウルム ラウインゲン ディリンゲン ヘーヒシュテット ドナウヴェルト(シェレンベルク) ライン アウクスブルク インゴルシュタット ネルトリンゲン ドナウ川 レヒ川 シュヴァーベン・ジュラ タラールの行軍 マールバラ オイゲン
周辺図(概略)
戦場図(概略) ブリントハイム オーバーグラウ ルッツィンゲン ウンターグラウ ゾンダーハイム シュヴェネンバッハ ヴォルペルトシュテッテン ネーベル川 ドナウ川 ← ヘーヒシュテット カッツ マールバラ オイゲン タラールの騎兵 ジュラの丘
戦場図(概略)