バンカーヒルの戦い
1775年 · 北米 軽量
英国軍 — ニューイングランド軍 · 9ターン · 駒 42
ブリーフィング
"A dear bought victory, another such would have ruined us."
「高くついた勝利だ。もう一度こんなものがあれば、我々は終わっていた」──ヘンリー・クリントン、その日の手記(クリントン文書)
六月十六日の夜、千二百の男が鋤と鶴嘴を担いでチャールズタウン半島に入り、朝までにブリードヒルの頂へ四十メートル四方の土塁を築いた。夜が明けて気づいた艦隊が撃ちはじめたが、土は弾を吸った。土塁の北肩からは胸墻が伸び、その先の二百メートルには何も無く、さらに向こうに干し草を詰めた横木の柵がミスティック川まで下っていた。ボストンから見上げれば、それは一本の線に見えた。近くで見れば、真ん中に穴が空いていた。
午後一時、二千二百の赤衣が半島の東の鼻に上がり、二時までに第二波が加わって二千七百になった。ウィリアム・ハウ少将は迂回を選ばなかった。正面から登った。二度撃退され、三度目に土塁を取った。三度目のとき、土塁の中の男たちは撃つものを持っていなかった。
【勝ち方】画面の点差は英軍から見た数字である。開幕は −90。土塁も胸墻も柵も浜もバンカーヒルも、全部が相手のものだからだ。勝利線は −15。英軍はここまで押し戻さないと勝ちにならない。史実の英軍は土塁と胸墻を取り、そのかわり千五十四名を失った ── その点差はちょうど −14 で、線の上にわずかに乗るだけである。つまり史実どおりに戦えば引き分けにしかならない。丘を史実より安く取って、はじめて勝ちになる。ニューイングランド軍は線を渡らせなければ勝ちである。取られた升を取り返す必要はない。渡らせないだけでよい。
【指揮官】英軍:Howe=ウィリアム・ハウ少将(総指揮)/Pigot=ロバート・ピゴット准将(左翼)/Clinton=ヘンリー・クリントン少将(命令を待たずに舟を出し、村の波止場へ上がった)/Grenadiers Abercromby=ジェイムズ・アバクロンビー中佐(擲弾兵・致命傷)/Marines Pitcairn=ジョン・ピトケアン少佐(海兵・戦死)/R.Artillery Cleaveland=サミュエル・クリーヴランド中佐(野砲に届いたのは口径違いの弾だった)/63rd Foot Rawdon=ロードン卿/5th Foot Harris=ジョージ・ハリス大尉(頭部を撃たれ生還)。
ニューイングランド軍:Prescott=ウィリアム・プレスコット大佐(土塁の指揮)/Warren=ジョゼフ・ウォレン医師(少将の辞令を持ちながら志願兵として土塁に入り、戦死)/Putnam=イズレイル・プットナム将軍(バンカーヒルで兵をまとめた)/Stark=ジョン・スターク大佐・Reed=ジェイムズ・リード大佐(ニューハンプシャー・線の北端)/Knowlton=トマス・ノールトン大尉(柵を築いた)/Gridley=リチャード・グリドリー大佐(土塁を縄張りした工兵)/Nixon=ジョン・ニクソン大佐/McClary=アンドルー・マクラリー少佐(退いたあと、頸で砲弾に当たって戦死)/Dearborn=ヘンリー・ディアボーン大尉(浜の石垣)/Callender=ジョン・カレンダー大尉(砲を退げ、のちに軍法会議にかけられた)/Doolittle=エフレイム・ドゥーリトル大佐(村の狙撃兵)。
【この盤で試せる判断】
一、The Gap。胸墻の北端と柵のあいだの二百メートルには柵が無い。ハウはここを一度も突かなかった。あなたは突くか。
二、Charlestown Neck。頸を押さえれば半島の全軍が袋になる ── ニューイングランド軍が一度に動かせる駒は七から四へ落ちる。クリントンはこれを進言し、ハウは採らなかった。バンカーヒルの北を回って十升。正面を捨てる値打ちがあるか。
三、Charlestown。村の狙撃兵を追い出せば左翼の手数が増える。だが村は一点にもならない。
四、弾薬。ニューイングランド軍の枠は最後まで七で据え置きである。英軍の枠はT4とT7で増える。時間はどちらの味方か。
【結末】三度目の突撃で土塁は落ちた。プレスコットは剣で銃剣を払いながら退がり、バンカーヒルを越えて頸を渡った。ジョゼフ・ウォレンは土塁の後ろで頭を撃たれ、その場に埋められた。掘り出されたのは十ヶ月後で、ポール・リヴィアが自分の手で作った義歯の銀線を見て本人と決めた。英軍の損害は千五十四名 ── 一時間半で、上陸した兵の五人に二人である。将校だけで十九人が死んだ。丘は英軍のものになり、ボストンの包囲は一日も緩まなかった。翌年三月、大陸軍がドーチェスター高地に砲を据えると、ハウは町を捨てて海へ出た。
夜のうちに土を積み、朝に艦砲を数えた
二百メートルの穴は、誰も突かなかった
義歯の銀線が、医師の名を証した
五人に二人 ── それが丘ひとつの値である
高くついた勝利だ
もう一度あれば、終わっていた
前夜の築城と、午後一時の上陸そのものは畳んだ。盤は英軍が東の鼻で隊列を組み終えた二時二十分から始まる。バンカーヒルの後ろで動かないまま終わった数百名は盤に載せていない(載せると勝敗の分母だけが動く)。艦砲も駒にしていない ── 村を焼いた火は地形として書き、頸を渡る危険は「増援は一隊ずつしか来ない」という形で書いた。
1ヘクス=100m、1ターン=20分、1CS≒30名。T1=6/17 14:20、T3=15:00(第一撃)、T5=15:40(第二撃)、T7=16:20(第三撃・クリントン渡海)、T9=17:00(土塁が落ちる)。
地図
チャールズタウン半島
ケンブリッジ
ボストン
ロクスベリ
ドーチェスター高地
ミスティック川
チャールズ川
ボストン湾(英艦隊)
頸(唯一の陸路)
ブリーズヒル 土塁
バンカーヒル
柵と石垣
チャールズタウン(炎上)
ミスティック川
チャールズ川
英軍上陸点
→ 頸