思考ルーチン

全体像

4つの層

対戦相手(PC)の判断は4つの層に分かれています。上の層ほど広く長い目で見て、下の層ほど目の前の1手を決めます。

層 何を決めるか 時間の幅
戦略 何を達成するか、どこが重要か、どう勝つか 1ゲーム(見直しはたまに)
作戦 どこに、どれだけの兵を割くか。戦線・主攻・予備 数ターン
戦術 この1つの駒を、どの升へ動かすか 1駒・1ターン
戦闘 この1つの戦闘をどう解くか。誰が誰を攻撃し、どの順に解決するか 1戦闘

この上に、盤面をまったく見ない設定として、対戦相手の性格があります。

層のつながり

動脈(上からの命令)。太いほど多く流れる 静脈(下からの報告・見直しの合図)
戦略 盤全体・たまに 作戦 数ターン・複数の駒 戦術 1駒・1升ごと 戦闘 1戦闘ごと 司令部 方面ごとに守勢と主攻 時期:段取り→突破 →包囲→締め 開戦計画 勝ち方の型と急ぐか 命令の順位表を作る 見直しは事件の時だけ 勝つには 守り切るか取りに行くか 不足点・必ず取る地点 毎ターン計算する 地図の読み VP・補給拠点の重み 橋・隘路 盤ごとの敵の展開図 敵を読む 敵の意図・主攻方面 敵の性格の推定 構え(性格) 攻撃・慎重などの型 敵への適応 下へ渡すのは係数だけ 主攻・集中 主攻の錨・主戦場 拘束・兵力の転出 戦略移動・突破 土台・戦線 持ち場・線を満たす 翼・ZOC封鎖・川の線 穴埋め・浸透塞ぎ 勝敗に直結 サドンデスの狩り・防衛 盤外脱出・封鎖・追撃 浸透狩り 地点への派遣 要衝への命令・梯子 巡回・間接アプローチ 補給拠点の奪取 状況・後退 方面の段階・死守・反撃 遅滞・奇襲の時機 接敵前の後退 予備 漸進投入・脅威方面 機動予備・担当区間 二重線 命令台帳 全ての割当を読み、1つの駒に1つの命令へ裁定する 順位表(即勝ち・即負けが先頭)に従い、命令が重なった駒の行き先を1つに決める 静脈:2手番つづけて近づけなかった命令は取り下げ、次の順位の命令を出し直す 台帳の外(構えで動く):撤退中・温存している奇襲部隊・サドンデスの大将・護送 ① 命令 督戦(接敵の義務) 台帳の行き先へ近づく升に絞る ② 安全 退路を塞がない 包囲される危険を避ける ③ 先読み 棄却・奪取・モンテカルロ (既定では休眠) ④ 採点 移動先の評価(全項目) 地形・ZOC・影響図・役割 ⑤ 計画全体 移動後の修復・スタック 活動枠の配分・待機の押さえ 攻撃計画(作戦との橋) 移動の前に2〜3体を収束させ、2:1以上を組む 台帳には「攻撃」の命令として届く 宣言 期待値でのグループ分け・身代わり攻撃 再配分・降格・MUST ATTACK の修復 上の層から読むのは攻撃性と守勢だけ 解決 高オッズ順・退路ゼロの的 後退先・包囲を完成させる前進 主攻方面・時期 順位表 戦線の命令の 半分が動けない → 計画の見直し 形勢の反転 守り切る/取りに行く 脱出・即勝ち 必ず取る地点 重要度・展開図 敵の意図 係数だけ 構えを選ぶ 各割当の行き先 1駒1命令 行けない・止めた理由 移動先の選択=全ての移動が通る唯一の場所。関所は候補を通すか止め、止めたら理由を残す 移動の後に宣言

赤い実線は上から下へ流れる命令(動脈)、青い破線は下から上へ戻る報告(静脈)です。

  • 戦略はたまにしか決め直しません。 開戦時に勝ち方の型を決め、形勢が反転するような出来事があったときだけ見直します。
  • 作戦は、戦略の決めたことを1つ、確実に実行します。 戦線・主攻・予備・要衝への派遣など、いくつもの仕組みがそれぞれ駒に行き先を出します。命令台帳がそれを全部読み、1つの駒には1つの命令だけを渡します。
  • 戦術は、駒が動くたびに全部の関所を通します。 命令に沿う升へ候補を絞り、安全を確かめ、採点し、最後に軍全体の計画と突き合わせて点検します。
  • 結果は上へ戻ります。 2手番つづけて近づけなかった命令は取り下げて次の命令に替えます。戦線の命令の半分が実行できないときは、計画そのものを見直します。

兵科の名前ではなく、能力で考える

思考ルーチンは、駒を「歩兵」「騎兵」「砲兵」といった名前では扱いません。見るのは射程と移動力です。地形も名前ではなく、その升の防御の倍率で読みます。シナリオが変わって兵科の名前が変わっても、同じ仕組みがそのまま働きます。

攻める「必要」と、攻める「余裕」

攻めるかどうかは、2つの別々の物差しで決まります。

  • 必要:勝利点と残りターン。負けていて時間が無いほど、押します。
  • 余裕:兵力比。優勢なら攻勢に、劣勢なら守勢や遅滞に寄ります。

性格が「自動」のときは、まず「必要」を読みます。守り切れば勝てる局面では、兵力で勝っていても攻めません。崩さなければ負ける局面では、劣勢でも守りに入らず、正面で勝てなければ翼を取りに行きます。

1手番の流れ

  1. その陣営の性格と設定を反映する。
  2. 勝利条件を読み、「守り切れば勝ち」か「取りに行かなければならない」かを計算する。
  3. 地図を読む(勝利点と補給拠点の重み、橋、隘路)。敵を読む(どこまで届くか、どこへ向かっているか)。
  4. 作戦の各仕組みが、戦線の持ち場・主攻・予備・派遣の行き先を出す。
  5. 命令台帳が、1つの駒に1つの命令へ裁定する。
  6. 駒ごとに、関所を通して移動先を選ぶ。
  7. 軍全体の移動計画を点検し、危ない手や穴を直す。
  8. 戦闘を宣言する(誰が誰を攻撃するか)。
  9. 戦闘を解決する(解決の順番、後退、戦闘後前進)。

設計の原則

  • 自然な流れ。 ウォーゲームに慣れた人が見て不自然な動きは、どこかの仕組みが破れている印です。勝率より先に、盤の上の動きの自然さを直します。
  • 戦線が先、拠点はその後。 ZOCは、迂回と包囲を防いで戦線を作るためにあります。対戦相手はすべての勝利点を守ろうとはせず、兵を先に集められて線として持てる所に主線を引きます。
  • 全線の大攻勢ではなく、集中・突破・包囲。 攻める所は、自軍が集中できる所です。
  • 仕組みは必ず発動させる。 効いているのか分からない弱い加点ではなく、条件が揃えば確実に働く形で書きます。
  • 直らなければ外す。 2回直しても直らない仕組みは外します。
  • 測って確かめる。 仕組みを足すたびに、入れた側と入れない側で対戦させて比べます。採用試験を通らなかったものも消さずに「休眠」の棚へ残し、ルーチン一覧に載せています。